『現代に生きる森田正馬のことば・1』

大雑把にいうと森田の「名言集」といった感じ。生活の発見会の編集で、森田療法のキーワードを森田全集の中から引用しまとめています。1巻では、向上心・向上欲、生の欲望と死の恐怖、気分本位、優越感と劣等感、思想の矛盾、はからい、感情の法則、初一念、物の性をつくす、など「主として症状のからくりや、実践についての指針のようなもの」が集められています。ちなみに2巻には「生き方全般をめぐる知恵のようなもの」が集められているそうです。以下、例によってちょっとだけメモ。

<拮抗作用>
この拮抗作用というのはつまり「したい」と「できない」との間の迷いであって、この迷いが複雑で大きいほど、精神の発達した修養の積んだ人である。迷いそのままのうちに、悟りがある。精神が幼稚なほど、迷いは簡単で、ただちに一方に解決してしまう。神経質の患者は、迷ってはならぬ、なんでも解決しなければならぬと考えるのが、第一の誤解の元である。僕の教え方は、迷うのは免れない、迷うのがわれわれの本当の心で、われわれは迷いながらにする。迷いながらに、信ずる人にまかせるというのである。(p52-53)

<気分本位>
「気分本位」というのは、人生の事実・実際を無視して、いたずらに自分の気分を標準にして考えるものである。「案ずるより産むがやすい」ということがある。実際に事実は気分とは違う。案ずるのは夢のようなもので、想像が事実のように思われてくる。恐ろしい心で見れば枯れススキも幽霊になる。これをジッと見つめれば幽霊の正体もわかる。

<悪智>
自分の考え方で、事実の真相を曲げようとする。これが悪智です。「逃れられぬから、すなわち恐ろしい」という事実を恐ろしくないように考えようとするのが、悪智である。

2巻の方もぼちぼち読んでいきたいと思います。でも、こればかり(森田療法)ばかりに盲信しないようにほどほどにやっていこうと思います。森田マニアになっても仕方ないし。なので、発見会の参加も別にいいかぁ(行かなくてもいいのかなぁ)なんて思ったり…。会員になるには入会金と年会費で2万もしちゃうしね。ただ、先月参加してみたことは良かったと思ってます。