保坂和志『書きあぐねている人のための小説入門』

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)
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中央公論新社 2008-11
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starインスピレーションの宝庫
starこんなものを読んでも小説は書けない

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簡単な感想を。まず、私は小説を書こうと思ったことはないのですが、過去恥部だけどシナリオセンターに通っていたことがあり、そこで学んだことと若干ダブるなぁ(いたって当たり前のことも含むなぁ)というのと、そもそも小説を書こうと思って「ノウハウ本」を求めようと人はこの本はあまり参考にならないんじゃないかと(苦笑)。どんな小悦を書こうとするかにもよるけど、たとえば、「その本のどんなところが良かった?」と感想を求めて、「えっとね、こうこうこういうストーリーで…」と、あらすじを語る人がたま〜にいますが、そういう人はそういうストーリーを書き続ければ(読み続ければ)良い訳で、ま、この本を読んで、「あ、こういう書き方(って書くのも変かな…、考え方の方がいいかな)もあるんだ!」って気づくならそれはそれで凄いと思うのだけど、ストーリー重視の人には参考になりません。
 

私は映画は静かなものが好きです。どっちかというと、小説もそういう好みがあるかもしれない。一般に言う「つまらない映画」が大好きです。小津安二郎の映画は「何も起こらないしつまんない」という人が多いですが、表面的には何もないかもしれないけど、私的には結構いろいろおきているし、あれだから良いのに…という。何かどんでん返しがいろいろあって、ハラハラドキドキして見終わった後「あぁ〜楽しかった」というのはエンターテインメントであり、そういう娯楽映画・小説もたまにはいいのかもしれないけど、私は小説も映画も芸術だと思っているので、それは違うんじゃないかというか私の好みではありません。


って、簡単な感想を…と良いつつ語ってしまっているけれど(汗)。これを読んですぐ「書きたい」「書きたくなる」かは分かりませんが、保坂さんと同じような視点で小説を読んだりする人には納得出来る内容かなと思います。つーか、そういう人はこの本を読まなくても分かっていらっしゃる気が(苦笑)。


でも、本当に親切にいろいろ教えてくれていると思う。ここまで「小説をこれから書こう」と思ってる人のために語られた本って他にもあるんですか?? 私は小説を書く予定はないのでw、他の小説家になるためのガイド本?を読んだことはありませんが、もし自分が小説を書きたくてでもどうしたらいいか分からない時に読んだら、かなり気楽に、自由に創作出来るようになるのでは?と思う、たぶん…。いや、やっぱり私の場合、逆にこの本にとらわれてしまうかもしれないなぁ…(苦笑)。


あ、最初に書いた「シナリオセンターで教わったこととダブること」というのは、あったり前の話ですが、回想シーン、夢のシーンを多用しないということですね。未だにそんなことして小説書いてる人がいるのか?って逆にこの本読んでて感じましたけど…。「テクニックについて」でもちょっと書いてあったと思うけど、手紙を使うのも私も好きではない。なので、川上未映子『ヘヴン』に納得いってないんだなぁ(苦笑)。従来の型にハマりたくないのなら、「手紙」という古くさい手法は止めてほしかった…って、これは私の好みの問題もありますが。


だらだら書いてくときりがないので、今日はこの辺で終わりにしときますが、自分のメモとして引用しておきたいところもあるので、また書くと思う…。最後に本当に簡単な感想を。この本読んで、いちばん強く感じたのは、「自分の受け取り方をもっと素直にしないとな」ということです。理由はまた今度(笑)。