アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで


『いちご泥棒』(内装用ファブリック 1883年)

6月に始まってから行こう行こうと思いつつ(去年から巡回してくるのを待っていたわりには)、体調不良だったりして伸び伸びになってましたが、もうすぐ終了ということで慌てて愛知県美術館に行きました。以下、メモ。

☆アーツ&クラフツ名称の由来

絵画や彫刻といった純粋美術を特権的に扱うロイヤル・アカデミーの展覧会に反発し、装飾美術の自主的な展覧会の開催を目的として、1887年「アーツ・アンド・クラフツ展協会」が設立され、1891年から96年までモリスが会長を務めました。アーツ&クラフツの名称はこの協会の名前に由来します。1888年10月に開催された最初の展覧会以降、3年ごとに展覧会が行われました。この展覧会の活動を通して、「アーツ&クラフツ」という言葉と理念が定着したのでした。

ジョン・ラスキン(思想家/批評家)→組合(ギルド)を提唱→1871年農業労働者の共同体「ギルド・オブ・セント・ジョージ」設立→ウィリアム・モリス(デザイナー)に影響を与える→彼の思想を実践

☆草花を愛するデザイナー

レッドハウス(※建築家ウェッブがモリスのために作った家)の内装を経験したモリスと仲間たち8人で、内装を扱う共同経営の会社「モリス・マーシャル・フォークナー商会」を設立。芸術家たちはそれぞれに得意分野があったようです。画家のバーン=ジョーンズはステンドグラスに登場する聖人や天使など人物表現に秀でていました。またウェッブは動物や鳥を描き、モリスは壁紙のパターンに代表されるように、親しみのある草花をデザインしました。


モリスデザインのテキスタイル、タペストリーに始まり、印刷工房「ケルムスコット・プレス」で作られた本が見れて感激。いままでそれらは美術のガイド本でしか見たことがなかったので、本物だよ、どうしよう…!みたいな。あの書体が素敵だ! これは英語だから出来るわけだけど、その書体にも草花をあしらったりしていてとても繊細でいてしっかりしている。アメリカではこういうの出来ないよな…とふと思いました(苦笑)。


アーツ&クラフツ運動から広がった、同じイギリスのグラスゴー派からはチャールズ・レニー・マッキントッシュの椅子が。オーストリアのウィーン工房からはコロマン・モーザー・チェアが展示されていて、モリスの運動がいろんなところに大きな影響を与えたんだなぁと。日本では民芸運動として発展しました。

☆日本のアーツ&クラフツ「民芸運動

思想家であり、美術評論家である柳宗悦は、無名の工人が生み出した生活用具に素朴な美しさを見出しました。江戸時代の木喰上人の彫刻を発見したり、朝鮮で日常的に使用されていた白磁器を評価し、様々な工芸品を収集しました。そうした民衆的工芸品を「民芸」と呼び、その価値をたたえ、収集品を展示するために1926年「日本民藝美術館設立趣意書」を発表。ここに「民芸運動」が公式に始まりました。大原美術館の創設者として有名な大原孫三郎らの支援により、1936年日本民藝館が開館すると、柳は初代館長となりました。
(ここまでの引用/すべて愛知県美術館の展示会観賞用プリントより)

正直、モリスよりも「民芸」の方が好きですw。まぁ、民芸ってこんな感じです的な展示でしたね。木喰仏や朝鮮の白磁濱田庄司河井寛次郎、富本憲吉の陶芸作品、バーナード・リーチのスリップウェア、芹沢銈介の染色作品、黒田辰秋の木工、棟方志功の版画など。なんかしらないけど、やたら黒田辰秋の作品が多かったですね。あと、青田五良の裂き織りがとても素敵でした。自分でも織ってみたくなります(やったことはありません…)。そうそう、三国荘の部屋の一部を再現していたのが良かったですね。あと、その部屋の様子がCG化されていたのが笑えた。民芸をCG化するのは無謀というか意味ないと思う(笑)。


帰りにモリス関連のポストカード(いちご泥棒など)とステンドグラスのデザインをモチーフにしたグラスを買ってきました(買ってしまいました)。あと、『いちご泥棒ジャム』といういちごジャム!w 会場には民芸関連の器が売っていて、あぁ、また家でも使いたいなぁと思いました(が、食器洗いが面倒なので、適当なお皿を浸かっている昨今。食洗機にかけられる食器ですね…)。


※時間があったらまた写真でもアップします(予定は未定)。