布施英利『京都美術鑑賞入門』読了

京都美術鑑賞入門 (ちくまプリマー新書)

京都美術鑑賞入門 (ちくまプリマー新書)

中高生向けに書かれた京都美術鑑賞入門ですが、京都のお寺などに興味がある人にはとても楽しめると思います。先月、京都に行ったばかりですが、また行きたくなってます(笑)。今度は、この新書を片手に、紹介されている清水寺金閣寺銀閣寺などを布施先生おすすめの鑑賞法で観てみたいな。特に、庭の右端からと左端からの景色の印象が違うという天龍寺に行きたい。


本では、お寺の他、仏像や絵画、建築、庭園、花・紅葉・苔などの鑑賞ポイントが紹介されてます。どれも「そうなのかー!」と発見の連続でしたが、なかでも生垣の解説が参考になりました。京都旅行後に重森三玲の本を読んでいた時、庭園における生垣の重要性を初めて知り、あぁ、ちゃんと(東福寺などの)生垣を見とけば良かったなぁと後悔。でも、生垣ってどんな種類があるんだろと思っていたところだったんで、なるほどーって感じ。


布施先生といえば「美術解剖学」ですが、この本ではその視点からの解説はほとんどなかったですね。一箇所、「なぜ仏像は、人体の形をしているのか。その理由は「解剖学」にあったと考えている」という記述以降、専門分野的なことを少し語られています。その部分も面白かったんですが、入門書だから控えられたのかな。別の本を読めばいいのか…。しかし、美術の先生(東京芸大准教授)だけに、たとえば「『唐獅子図屏風』の獅子のうずまく毛に、ゴッホの『星月夜』の星の渦巻きを連想したりした」というような記述が出てくる度に、おぉ、そう来るか〜みたいな新鮮な驚き・発見がありそれも楽しかったです。


最後に9人の芸術家たちが紹介されていますが、京都の美術を語るには夢窓疎石が外せないのかー!かなり力説されていたので、すっかりその気。 む〜、もっと知りたいななんて思った(笑)。天龍寺の庭も彼の作庭なので、ぜひぜひ観てみたいです。本文とは関係ないけど、添えられているイラストが可愛いのと、布施先生の似顔絵が似ててなんか和みます。


☆布施英利さんの本

体の中の美術館―EYE,BRAIN,and BODY

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君はピカソを知っているか (ちくまプリマー新書)

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君はレオナルド・ダ・ヴィンチを知っているか (ちくまプリマー新書)

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はじまりはダ・ヴィンチから

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