『残響―中原中也の詩によせる言葉』読了


NHK出版の紹介文以上に何か書くことがあるのかなぁ…w

“machidakou sings nakaharachuya.”

わずか30歳にして夭折した詩人・中原中也。その遺された詩の一篇一篇から喚起された世界を、“現代最強のパンク詩人”である町田康が自らの言葉で紡いでいく。「ダダの中也」と「パンクの町田」の時空を超えた饗宴!

2008年に放送された「NHK 知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」のテキストに、「町田康の中也の詩に寄せる言葉」というコーナーがありました(番組は2008年10月に放送。町田康が中也を語る、的な内容でした!)。放送後しばらくしてからWEBマガジン「中原中也×町田康」という連載が始まり、今年の始めに終了。


この本はこれらを再編集したもので、こうやって一つにまとまると新鮮。あたらめて中也とマーチダ先生の詩が響き合う感じがしますね。


私はこの番組がきっかけで中也好きになったんですけど、中也の詩に寄せるマーチダ先生の言葉というかその発想がスゴ過ぎて、え、え〜っ?って笑っちゃうところもあったんですが、だいたいが、なるほど…というか、そう来ましたね、というかw


そういえば、テキストとこの本で若干違っているところがあったんでメモ。


『帰郷』で、テキストでは「そのような形式がある時というのはいい詩だなあ」となっていますが、本では「そのような形式を天然で持っている詩というのはいい詩だなあ」と、少し書き加えられたようです。


他「、」の有無や、「か」のとこが「が」になってたり、「いる」が「入る」になってたり、テキストで「異常」になってたところは「以上」に変わってたり、誤植を訂正?というところもあったのでこれは省略。


ちなみにテキストで取り上げた詩(寄せる言葉で取り上げた詩)は、『帰郷』『朝の歌』『骨』『修羅街輓歌』『港市の秋』『冬の夜』『羊の歌』『冬の長門峡』『夏の夜の博覧会はかなしからずや』です。


私がこの本のなかでいちばん気に入ったマーチダ先生の言葉は『玩具の賦』に寄せたもの。『我がヂレンマ』も良いなぁ。中也の詩で好きなのは『骨』『修羅街輓歌』とか…ってキリがないというか全部好きなので。


中也の詩に関しては有名な詩も網羅されてるので(『汚れつちまつた悲しみに』『サーカス』『骨』など)、中也初心者の方にもおすすめします。町田康の言葉は詩の解説ではないけれど、中也の詩の世界がいちだんと広がりを見せるというか、なんだか妙な読後感に浸れますよw これを「残響」というのか。