町田康『スピンク日記』読了

スピンク日記

スピンク日記

私はスピンクといいます。犬です。
小説家の主人・ポチと一緒に暮らしています。
私たちの楽しい毎日について
申し上げることにいたします。
(帯より)


なんかもう最初から最後まで笑える。『本』(講談社の小冊子)の連載時から楽しく読んでいたのですが読むのは『本』が手に入った時だけだったので、一回分だけでも可笑しくてたまらないのにそれをこうやってまとめて読むと、もうニヤニヤしっぱなしというか。連載にはなかったスピンクさんたちの写真も満載だし。


スピンクというのは町田康が一緒に暮らし始めた犬です。この本では、その犬のスピンクが「主人・ポチ」(町田康)や奥さんなどをよ〜く観察し日記に綴ってくれています。スピンクからの視点がとても面白い。いや、書いてるのは町田康なのに、本当にスピンクがこう語っているかのようですw 町田康は以前『膝のうえのともだち』のなかで、人間と猫が逆転した立場になって語られている短編小説を書いています。猫が人間に感じている想い(それは町田康が猫に対する想い)が表現されていて、とてもしんみり(良い意味で)したものです…。


でも、このスピンク日記はカラっとしてます!w とてつもなく。スピンクやキューティーが町田家に来た経緯など、少ししんみり、考えさせられることもありますが、とにかく底抜けに面白い! スピンクの方がポチより大人?みたいなw 町田康節が出てるのはスダチマルダシホールってネーミング。これなんじゃい?ってw(都会の地理に疎いので良く分かんないけどスパイラルホールのこと?) 奥さん(本の中では美微さん)がスピンクに言うという「楽しみジャンキー」ってのもイイ。あと、奥さんの方が躾けをしっかりやり、旦那は一緒に暮らす動物を甘やかすというパターンはどの家にも当てはまるのかしら、とか思った…w。町田家がとても楽しそうでこっちまで幸せな気分になります。私は本を読んだところであまり(ほとんど)そういう気分にならないのだけど、この本ではそう感じました。大の犬嫌いな私でもw


あと、これどうでもいいんだけど、23頁に載ってる町田康の写真が、一瞬、年末に有名になった山路徹氏に見えたのでした…。210頁のはHPのトップ写真、あと136頁にスピンクがすごいジャンプ力を見せていますが、あれ動画で見れるところがあります。「shootup.net - このウェブサイトは販売用です! - デジタルフォトライフ デジカメ カシオ エクシリム 動画 画像 リソースおよび情報」の「写真を見る」から開いたところに一部動画がアップされています。その中でスピンクのジャンプを見ることが出来ます。このサイト自体はもう何年も前にアップされたものなんだけど、当時からスピンクのジャンプ力に驚いていたので、久しぶりに誌面の写真見て思い出した次第です。あ〜、楽しかった。『本』の連載はまだ続いています。『スピンク日記2』を今から心待ちにしていますw


膝のうえのともだち

膝のうえのともだち