中原昌也『待望の短篇は忘却の彼方に』

待望の短篇は忘却の彼方に (河出文庫)

待望の短篇は忘却の彼方に (河出文庫)

私小説的なものもあり、超短篇も面白かったけど、いちばんグっと来たのは文庫版あとがきかなー。「そうとでも思わないと、逆にすべてが本気で悲しくなってくるからだ。あまりにも自分の生きている現実は、残酷で無慈悲で、愛などどこにもなく、救いがないから」。背表紙んとこに「奇才・中原昌也が「世界」への絶対的な「憎悪」と「愛」を込めて描き出した、〜」とあるけど、その絶対的な「憎悪」というところはとても分かるなーというか、私には愛はない(と思っている)けど、彼にはあるのかなーということを思った(だからこそ絶望が深いのかもしれない)。帯はこんなです。「考えるな、感じるんだ! 中原昌也が放つ、絶望と狂気、そして愛の叫びを」(混迷の時代に舞い降りた、ユーモア青春!?小説集)…。どんな小説だよ!と突っ込みを入れたい気分です。