坪内祐三『考える人』読了


考える人


著者の感じる「考える人」、小林秀雄福田恆存武田百合子幸田文植草甚一ら16人の作家・評論家の作品を通して貫かれる精神(って言葉が適切かわかんないけどw)を、作品の引用を用いながら論じています。評論集になるのかエッセイになるのか、とても読みやすい本だと思いました。私は、この16人のなかでちゃんと読んだことがあるのは武田百合子ぐらいです(小林秀雄は講演CDを聴いたけど)。そこで彼女について語られている「「見ること」と「考える」ことがつながっている」というのは、ほんとそう思いましたね。なんであんなに見えるのか。


あと、私の頭の中で、田中小実昌色川武大がごっちゃになるんですよね、いつも。作品も読んだことないのに(苦笑)。で、これ読んだら「これまでに登場した「考える人」たちの中で一番色川武大に似たタイプは田中小実昌です」とある! え、私の直感当たってた?w というか、余計頭んなか混乱中。いちど、それぞれの著作を読んでから、どういう風に「似たタイプ」なのかを実感してみたいです。


だらだら書いてますけど、私が「この人の本、気になるな」と思ったのは、最後に紹介された福田恆存でした。お恥ずかしながら、私は福田恆存のことを全く知りませんでした。でも、引用されていた文章に、それまでのどの作家よりも(もちろん、ほほぅ!と思うこともあった)、興味のあることが語られていたので、引用だけの文章でなく、全体を読みたいなと。それは『人間・この劇的なるもの』という本らしい。これでまた読みたい本が一冊増えてしまったなぁ(笑)。