保坂和志『プレーンソング』読了

プレーンソング (中公文庫)
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中央公論新社 2000-05
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とても映画的な小説というか、映画といってもいろいろあるけど、単館系の映画というかそんな感じ。簡単に言うと、私の好きな映画のタイプという。すんごい事件があるわけでもないっていうソレ。映画については本文の中にも書かれています。

 「(前略)でも、筋って、興味ないし。日本の映画とかつまんない芝居みたいに、実際に殺人とかあるでしょ、それでそういうのから取材して何か作ってって。そういう風にしようなんて、全然思わないし。バカだとか思うだけだから。(中略)
 そんなんじゃなくて、本当に自分がいるところをそのまま撮ってね。
 そうして、全然ね、映画とか小説とかでわかりやすくっていうか、だからドラマチックにしちゃってるような話と、全然違う話の中で生きてるっていうか、生きてるっていうのも大げさだから、『いる』っていうのがわかってくれればいいって」

激しく頷いたよ。それと『世界を肯定する哲学』を読んだ後だったからか、全体的に妙に哲学的なものも感じたりなんかした。それは一番最初にゆみ子に電話したときの会話から感じた。

「そんなこと、あるわけないじゃない。あなたに見えていないだけよ」

これだけなんですが、考え過ぎでしょうか(苦笑)。で、ラストに出てくる伊藤さんの発言、

「人は見る必要があるから見て、聞く必要があるから聞くって。(以下略)」

に繋がった、と妄想しております…。どうゆうこと?と突っ込まれると説明出来ないので引用だけしときました、はい。あと、こういう表現が好きだ。

そうやって見ていると、あの冬の感じがこういうとき独特の、からだのどこかにしまい込まれていた記憶が何か形あるものとしてではなく全体の何かのように浸み出すようにしかして戻って来た。

とか

「なんか今日は、考え方の日だなあ」

とか。もっとまともな感想(レビュー?)はアマゾンでも見て下さい(笑)。ここは私の覚え書(言い訳)。