『みじかい眠りにつく前に』

新聞の広告欄に、いしいしんじ寺山修司の作品が入ってる短編集が載ってたので買ってみた。この2人が一緒になるって珍しいなと思って。タイトルの「金原瑞人YAコレクション」? ハテ? 金原さんって誰? YAが「ヤングアダルト」だってことも今回初めて知った私です(苦笑)。YAを簡単にいうと、子どもも大人も読める作品って感じでしょうか…。違う? まぁ、その中にいしいしんじの名があるのは納得できる。他の作家の作品はほとんど読んだことなし…。自分が初めて読む作家の作品にはなかなか手が出せない私なんだけど、意外にこの本だと抵抗なくさらりと読めました。


なんか全体的に「青春」って感じっていうか(笑)。さらりと読めるけど、この歳だからこそ深く考えも出来るというか。一応この本は『みじかい眠りにつく前に』なんてタイトルで、「真夜中に読みたい10の話」とあるけど、最後に収録されている有島武郎の『小さき者へ』は、逆に目が冷めちゃうんじゃないかと思いましたね。出産シーンとか緊迫した感じだし…。申し訳ないけど、今まで読んで来たさらりとした文章と違う、どしっと思い文章だから。それと自分の亡くなった両親と重ね合わせて読んでしまったのもあり、む〜、「深イイ〜!」って(苦笑)。

どれも面白かったんだけど、やっぱり有島武郎がガツンと来たかな。あと、初めて読んだ鷺沢萌の『真夜中のタクシー』も好みかも。いしいしんじは「なるほど」ってニヤリとする感じ。なんか新鮮な驚きはなかったかな。恩田陸も初めて読みましたが、あぁいう楽しい文章も書く方なんですね。名前のイメージから勝手に小難しい感じかと思ってた(笑)。角田光代は初々しい感じ。江國香織は私は苦手かもしれないなぁ…。『タケヤブヤケタ』は、自分が転校生で全く同じじゃないけど、似たようなことを思ったから(それも答えは出ていない)あんまり楽しめなかったかも。切なくなるし、最後あんなことになっちゃうし…。でも、いちばん「入り込んで」読めた作品かもしれない。寺山修司は「らしい」作品です。これは読んだことがありませんでした。


買ってから3時間弱で一気に読んじゃいました。しかも真っ昼間に(苦笑)。やっぱり、寝る前に一話ずつ読み進めるのがいいかもしれませんね。「シン」とした空気の中で読むのが合ってる気がします。

<収録作品>

いしいしんじ『サラマンダー』
魚住直子『おどる洗たく虫』
江國香織『十月のルネッサンス
恩田陸『飛び出す、絵本』
角田光代『『共栄ハイツ305』杉並区久我山2-9-××』
鷺沢萌『真夜中のタクシー』
寺山修司『踊りたいけど踊れない』
梨屋アリエ『タケヤブヤケタ』
楡井亜木子『おれがはじめて見た、茜色の果実について』
有島武郎小さき者へ