町田康『フォトグラフール』

フォトグラフール

フォトグラフール

おもしろ(ナンセンス)写真に、町田康の妄想が冴え渡る。と言いたい所だけど、ツボにハマってしまうほど面白いところもあれば、なるほどねーと流す部分も正直あったりして(苦笑)。つーか、大阪弁が喋れたらいいのにな、と思った(本の感想じゃないなこれw)。大阪弁に関しては「苦手」であることを公言していた私ですが、テレビで聞く分には好きなんですよ。直接喋られると怒られてると感じるだけで(苦笑)。特に『なるトモ』とかでなるみが言う「〜してまう」というのが可愛い(笑)〜。


で、この本にも関西弁が所々出てきます。私なりにこれを頭ん中で大阪弁のイントネーションを真似て読んでるわけだけどなんか違う! もっとネイティブに読みたい! それと…なぜか町田康がこの大阪弁(彼は河内弁か)を読んでるという印象よりも、サバンナ・高橋がゆっくり読んでる印象が強くて、それを想像して笑ってしまった部分がありました。なんでだろ。ちなみに彼は京都出身ですけど(笑)。たとえば、こんな部分。

そやけどせっかくつかんだ飛び魚や。これをみすみす手放すのはいかにも惜しい。腹減ってるしね。どないしょう。諦めるか。と思てたら、お? なに? 曲がって。向こう行きよったね。もうこっちにはけえへんのかな、ほんだらもうこっちのもん、ここでゆっくり食べるもよし、ちょっとそこの物陰に行って食べるもよし、好きにできるやん。あとここに、ひいっふうっみいよおいつむうななやあ、九匹もあるやん。うふふ。人間てあほやね。俺に飛び魚取られんのんも知らんと、あんなとこ行って、ぼさあっとしとんねんで、また。働けっちゅうねん。けどまあそんなことはどうでもええわ。とにかく、この旨そうな飛び魚をゆっくり頂戴しょう、と思てたらなに? うわっあんなとこに戸オあったの。もう目の前やんか、すぐそこやんか。こっわー、と思たら、うわっ。腰抜けてもた。動かれへん。ああ、もうしまいや。殺されるわ。こっわー。こっわー。


p88「人間てあほやね」より一部引用

引用、一部じゃなくなってる…。これ、最初と最後を略しただけですね(汗)。


そいえば、関西弁の文章というと、最近では川上未映子が思いつく方もいるかもしれませんが、関西弁ということが共通するだけで(それも全部の作品じゃないし)、未映子町田康の作品のテイストは全然違うと思うんですよね。両者とも好きなんだけど、好きなポイント違うし。だけど、あまり読んでもいない人に、未映子町田康のマネとか言われると、ちょっとイラっとしたりします(笑)。逆に「パンク歌手」と自称している町田康に対し、未映子の「文筆歌手」を真似てるのでは?と(思い込みで)言う人もいて、はぁ…って(苦笑)。チラ裏、まことにスイマメーン。