キュレーター・長谷川祐子さん「アートは人を自由にする」

私が女性について何かを語るのってかなり珍しいことかな。長谷川裕子さんは東京都現代美術館のチーフキュレーター。ここに赴任される以前は、金沢21世紀美術館でその手腕をふるわれていたそう(ここは私が行きたい美術館のひとつです!)。あ、キュレーターというのは、すっごいおおざっぱですが、プロデューサーも兼ねる学芸員といったところでしょうか(もっとちゃんとした定義はwikiで確認してちょーだい)。学芸員さんってずっと座ってるイメージの方もいるようですが、座ってるのは必ずしも学芸員の方じゃないとおもうけど(笑)。座ってる暇ないくらいに忙しいよなぁ、たぶん。。えっと、気を取り直して(苦笑)。キュレーターとは展覧会の企画から、アーティストへの交渉や提案、スケジュール管理に、作品解説、会場での作品の展示レイアウトまで、展覧会に関するありとあらゆることですね。これだけ書いても目が回る(苦笑)。長谷川さんは、キュレーターを「出会いの演出家」と語りました。アートと作品の橋渡しをする役割。


長谷川さんが現在の日本でもっとも話題なキューレーターということは、前号の『[rakuten:book:12603540:title]』の「キュレーターという仕事」という特集で知った私(遅れてますね…はい)。その誌面では、開催中の展覧会の紹介を兼ねてキュレーターという仕事と長谷川さんの話を紹介していました。読後、正直、なんだか偉そうな人だなと少し抵抗感があったんです。プライド高そうだなと(笑)。


そして、おとといなんですが、NHKプロフェッショナル仕事の流儀』に、その長谷川さんが登場しました。誌面と同様、いま開催中の展示会を通じて長谷川さんの仕事の流れを追うものでしたが、実際の彼女の動きや声、物腰に、パワーを感じまくり。次から次へと無理難題。でも、その都度、冷静に対応し見事にこなしていく…。アーティストを見ただけで、その人が「いま」いい状態なのかそうでないかもわかるそう。洞察力・直感力がすぐれているんですよね。ひとつのことを見て、いろんなことがピピピっとひらめくんだろうな。偉そうな人だなというのも、偉いんだからそう見えたのかな(笑)。ただ、誌面ではあまり笑顔ってなかったし、生の声を聞くか聞かないかでも印象ってこんなに違うんだなというか。自分の勝手にきめつける癖もなんとかしないとね(笑)。


誌面では印象のなかった笑顔は、誰よりも先に作品を楽しめる瞬間にありました。そこには彼女の満面の笑みが。お客さんが作品を鑑賞しているのもしっかりチェック。楽しんでいる様子を見てまた笑顔。この瞬間に、どんな大変なこともふっとんでしまうのでしょう。プロフェッショナルとは…の問いには、これまた名言を残しておられます。私には、あぁ耳が痛いな、というかね。一流の人と凡人との違いを目の当たりにした感じかな。気になる方は放送分HP↓を見てくださいな。


☆放送分:http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/071218/index.html:TITLE
 (再放送:12月 25日 (火) NHK総合 午後4:05〜午後4:50)
東京都現代美術館


キュレーターも映画等のプロデューサーもそうだけど、そのジャンルがただ「好き」というだけではやっていけませんよね。上に書いたような「絵を見てられるから楽しそう」というのではないですから。電車や飛行機、宿泊の手配をしたり、材料集め(交渉)をしたり、アートと関係ない仕事がたくさんある。だけど、一流の人たちは「好き」でなく心底それが「大好き」なんだと思う。だからこなせる。そして、自分も自由に、人も自由にさせることができるんですね。私もそういう仕事、してみたかったな。いまから…できるんだろか?でも、 何をしたいかもわからない…(苦笑)。


最後に、気になる学芸員さんっていますか? 私は名古屋に住んでるのですが、独断と偏見で語ると、映像は愛知芸術文化センターの越後谷主任学芸員。企画上映のセレクトが絶妙。的確な視点! そして愛知県立美術館の主任学芸員・拝戸雅彦氏かな。以前開催した展示会の解説を聞きに行った時、とても話が分かりやすく、またその企画も面白かったので。愛知県立美術館で開催されているイベントで気になるのって彼の企画だったりするんですよね。アートの展示会というと、その作家の作品で善し悪しを決めがちだけど、キュレーター(学芸員)の見せ方でどうにでもなるというか、私たちは作家の作品を見ているというより、彼らの作品に出会ってからはじめてアートと手をつなげるんだなと思いました。