いしいしんじレクチャー@メリーゴーランド その1


四日市にあるメリーゴーランドで開催の「いしいしんじレクチャー」に行ってきました。開場前にぐるっとお店を物色しましたが、昔読んだ本がたくさんあってむずむずしました。や、私が読んでたのって「とんち話」「昔話」シリーズだったり、子供向けの「文庫シリーズ」みたいなのばかりですけど。小さい頃から「文学少女」に憧れていたのに、なりきれなかった私の「なさけない時代」(今もか…)を思い出してむずむず…(苦笑)。あ〜、やり直したい。あの頃に戻れるとしたら、もっと「名作」を読んでおこうと(でも、ひねくれてるからやっぱ無理?)。。


それはともかく、会場には女性ばかり100人ほど(男性はかぎりなく少ない)。最初に店長さんの(通称ひげのおっさん)挨拶&お話がありました。その中で、「小さい頃から本に親しんできた人がいしいしんじの作品に出会うと『こんなに面白い小説があるんだ!」という感じになるんだけど、日頃あまり本を読まない人がいしい作品を読むと「なに、これ、わかんない」状態になる」と言っていて、「そうなのかな〜」と思いました。私は、上に書いた通り「本好きな自分になりたいけど慣れなかった」人なのですが、いしい作品を「面白い!」と感じられて良かった(笑)。だからといって、「通」しか分からない作品ではないので、久しぶりに本を読んでみようと思う方にも私はおすすめしたいなぁ。「小説って楽しいな」と改めて感じさせてくれるので。


ひげのおっさんの話の後、ようやくいしいしんじご本人が登場!と同時に、会場がどよめきました。だって、いしいさんの服が凄い! 赤のジャージ(下)に白地のスニーカー。上は写真の通り、水色と白のストライプシャツの上に黒のセーター。そして、この上にタータンチェック(やはり赤)のジャケットを羽織っていたのです。つまり、全身「赤」! あと、眼鏡もインパクトありますよね(笑)。本人は「出てきただけで笑われるなんて…」とぼそっと言ってましたけど。


話は、さっそく近況から。うわさの長編『みずうみ』ですが、2週間程前書き終わったそうです(パチパチ!)。そして、直島に取材に行った話に。直島は前にも行ったことがあって、いしいさん自身現代美術に興味があることから好きなところでもあるそうです。今回は松本からということで、大阪経由で直島に行こうと実家に泊まった時のこと。お母さんと話をしていたら(ここでのお母さんとのやりとりが面白かったけど、関西弁は再現できな〜い)、いしいしんじのおじさん(橋本のおじさん)が直島出身ということを聞かされ、しかも、直島の美術館などがあるその土地はもともと橋本家の土地だったことを初めて聞きびっくり…(取材直前にそんな事実を知らされ驚いたそう)。え〜、ほんと〜?と橋本のおじさんに電話して確認するとホントだとのこと! 取材当日、島につくと、何故かその橋本のおじさんが笑顔で出迎えてくれていたそうです(笑)。
(※直島は、簡単に言うとアートな島。島中が現代美術の宝庫なのです。岡山と高知の間の瀬戸内海にぽっかり浮かんでいます。私もいつか行きたい)


直島の取材は1日で終わったけれど、その後数日直島に残ったいしいさん(民宿に泊まる)。で、草間彌生のかぼちゃ(のオブジェ)を見てないと思い、そこに行ってみるとどこかで見覚えのある顔をしたおじさんがいたので「私、大阪の住吉の出身で…」と話かけてみると、そのおじさんが黒い手帖から名刺を出してよこしてくれたそう。そこにはなんと「安藤忠雄」と!(笑)あの安藤忠雄ご本人とは〜! いしいしいんじは住吉出身で、安藤忠雄のデビュー作「住吉の長屋」も見たことがあるそう。直島にある地中美術館は彼の設計で、3作品しか展示してないそう(その3作品を展示するためだけに作られた美術館でもあるそうです)。いしいさんにとって、いろんな縁があった直島の旅ですけど、こういう「縁」も才能のうちなんじゃないかと私は思います。


そうそう。今、島全体を会場としている「NAOSHIMA SATNDARD2」が開催中なので、「機会があったら是非行ってみてください」とのことでした。うん、行きたい(笑)。おすすめの民宿は「つつじ荘」だそうです!

ベネッセアートサイト直島
http://www.naoshima-is.co.jp/

いしいさんおすすめの民宿「つつじ荘」
http://www.naoshima.net/stay/tsutsuji_sou/index.html



いしいさんは、今日はとても身体がだるいそうで、「講演会止めて帰ろうかと思った」ほどだったそうです(笑)。なんで疲れてるかというと、大竹伸朗の展覧会「全景」を見たからだそう(来月青山ブックセンターで彼との対談がありますね)。1日では見切れず、次の日も、その次の日にやっと見終わったそう。なんでこんなに時間がかかるのかというと、彼の作品を見ていると、身体がうずく(その絵のパワーにつられ動きたくなる)のだそうですが、それをその場でやると怪しいので(笑)、その身体への反応を絵に転換しているとのことでした。それを書いたノートもちらっと見せてくれました(えんぴつで、ぐしゃぐしゃっと、形があるようなないような、おおざっぱだったり繊細だったり、なものでした)。それは、大竹伸朗の絵を写す(記録する)のではなく、彼の作品を見てからだに受けたこと(モノ)をいしいしんじがノートの上でカタチにしていく作業。


絵や音楽も「自分の中で起きていることを感じる」こと。音楽は「楽器(の音)を聴いていると思いがち」だけど、「ここで音が出ている、聴けている、その瞬間」を感じることが大切。絵も「それを見ている時に、(身体に)何かが起きている」ことを感じるとのことでした。うんうん、ほんとそうだ。そう思ってるけど、凡人にはなかなか言葉に変換利かないのよね(苦笑)。


大竹伸朗「全景」公式サイト
http://shinroohtake.jp/index.html


「(小説も)わからないということはダメということはない」。わからない文章(それが文法的にダメならダメかもだけど)ではないならダメな文章ではないと言っていたことにも、あかべこ状態な私でした。え〜、まだレクチャーの前半なのですが、長くなってきてるので、後半につづく…とさせていただきます(苦笑)。