中原中也『山羊の歌』読了

山羊の歌―中原中也詩集 (角川文庫―角川文庫クラシックス)
山羊の歌―中原中也詩集 (角川文庫―角川文庫クラシックス)佐々木 幹郎

角川書店 1997-06
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読んだ、読んだ。有名な「サーカス」の「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」や、「ただもうラアラア唱ってゆくのだ」(「都会の夏の夜」)とか言葉の響きが面白い詩もたくさんあるのですが、ま、個人的趣味でちょこっと引用する。それにしてもお腹がすいた…。

それにしても私は憎む、
対外意識にだけ生きる人々を。
─パラドクサルな人生よ。
(修羅街輓歌 関口隆克に/酔生より)

つづく…。

人間に分からない無数の理由が
あれをもこれをも支配しているのだ


要するに人を相手の思惑に
明けくれすぐす、世の人々よ。

僕はあなたがたの心を尤もと感じ
一生懸命郷に従つてもみたのだが

今日また自分に帰るのだ
ひつぱつたゴムを手放したやうに
(憔悴より。「憔悴」は全部引用したいぐらいなんですけど)

人みなを殺してみたき我が心その心我に神を示せり
世の中の多くの馬鹿のそしりごと忘れ得ぬ我祈るを知れり
我が心我のみ知る!といひしきまま秋の野路に一人我泣く
そんなことが己の問題であるものかといひこしことの苦となる此頃


猫を抱きややに久しく撫でやりぬすべての自信滅び行きし日
(初期短歌より)

他、特に気になったのは「春の思ひ出」「盲目の秋」「生ひ立ちの歌」「命の歌」「(ダック ドック ダクン)」「或る心の一季節ー散文詩」「冷酷の歌」「(頭を、ボーズにしてやらう)」とか最後に収録されていた「別離」かなぁ。上にちょこっと引用した「憔悴」は結構キタ。
中原中也 山羊の歌
 ここにも「憔悴」あります。「憔悴」ありますってのも変だな。


で、先日ブクオフで旦那が別の中也の詩集を見つけてくれたのだけど(町田康のエッセイが載ってるやつ)、今回読んだのとどこが違うのか良くわかりません…。ま、また読んで見ます。読んでるとちょっと凹んだりするんですけれども、ま、ショック療法(?)的な意味で読書するのもいいかもしんない(ヒトリゴトです)。